皆さんご存知フグ。その種類は世界で100種類、日本近海で50種類、そのうち日本で食用として許可されているのは22種類います。
フグを食べるのが好きな方も多く、町でもフグ料理屋さんをよく見かけます。
ご存知の方も多いと思いますが、フグにはテトロドトキシンという猛毒を持つ種が多く存在します。
ふぐの肝臓や卵巣などの内臓、ふぐの種類によっては皮、筋肉にも含まれ、通常の加熱では壊れません。
その強さは青酸カリの1,000倍以上ともいわれる猛毒です。
今回は、長崎大と東京大が発表した研究で、猛毒を持つフグがフグを捕食したらどうなったかという内容の研究が発表されたので、その内容をご紹介します!
目次
フグがフグ毒を摂取した結果
結論としては、捕食したフグの腸内フローラが変化したそうです。
そもそも、フグはフグ毒に耐性があるのですね。。初めて知った方も多いかと思います。
体内に毒素があるので、同じ毒素を摂取しても大丈夫と言われればそれはそうですね。
研究内容
長崎大学と東京大の研究グループが行なった研究で、近年フグ毒が細菌に対しても増殖阻害効果を持つ可能性が報告されたことを受け、人工的に孵化させ、飼育した毒を持たないトラフグ稚魚にフグ毒を混ぜたエサを与えて、腸内に生息する細菌の集団=「腸内フローラ」の変化を観察した所、「一部の細菌種の組成が変化」することを発見したそうです。
腸内フローラとは
腸内フローラとは、腸内に生息する細菌の集団をいいます。
猛毒・テトロドトキシンとは
フグの毒は、テトロドトキシンという物質です。
文献により差はありますが、テトロドトキシンは青酸カリの500から1000倍の毒性を示す猛毒であり、耐熱性があるため、通常の加熱調理では壊れません。人間の致死量は、2から3ミリグラムといわれています。
テトロドトキシンは、フグ科の魚類だけでなく、ツムギハゼ、ヒョウモンダコ、バイ、ヒトデ、スベスベマンジュウガニ等の海洋生物のほか、イモリやカエルなどの両生類からも発見されています。
フグが猛毒を持つ理由は?
ふぐがなぜ毒化するかについては、まだよく分かっていませんが、海洋細菌のいくつかの種類(Vibrio alginolyticus ,V.damsela,Staphylococcus等)に、テトロドトキシン産生が認められ、これらの細菌が、小型巻貝などに取り込まれ、ふぐがこれらを食べることにより毒を蓄積すると考えられています。
その他食べられない魚は?
フグ毒と同じテトロドトキシンを持つ魚にキタマクラがいます。
他にもパリトキシンという毒を持つアオブダイやソウシハギなどもいます。
食べると最悪死にます。加熱しても冷凍しても無毒化することはできません。
その他にはシガテラ毒を持つイシガキダイやオニカマスなどもいます。
死ぬことは「まれ」とされますが、救急車を呼んだり入院が必要なぐらいの症状が出ます。
毒を持たないフグ
日本のトラフグは実は毒を持ちません。
そもそもフグの毒は餌に含まれる毒に由来するため、毒を含まない餌のみで飼育すればフグに毒は蓄積されません。
養殖業へフィードバックに期待
腸内フローラの変化がフグに対して良い影響を与えるのか悪い影響を与えるのかについては「現時点では分からない」とされています。
研究グループではさらに研究を進めることで「よりよい飼育環境の構築や、自然環境における適切な資源管理につながると期待される」としています。
フグ毒を利用することで、より高品質の養殖フグに育てられる可能性もあるということですね。
終わりに
フグがフグ毒を摂取した際に腸内フローラが変化するという研究結果をご紹介しました。
今後のフグ養殖への応用にも期待したいですね。
最後まで閲覧ありがとうございました。