学び

北海道大学水産学部で受けられる授業と実際過ごしてみた体験談

※長文です

こんにちは!魚ジャーナルのサバ缶です🐟

今回は、北海道大学の水産学部ってどんな授業を受けられるの?気になってるんだけど実際どうなの??
という質問に、自分なりに答えていこうと思います。

大学は、皆さんが希望を持って必死こいて勉強して、やっと辿り着く青春の期間ですよね。
私サバ缶も浪人してひたすらにしんどい浪人生活を送っていた際、北大水産(以降、”北水”)は実際どんな感じなんだろう?楽しいのかな?と不安に思う事もありました。
北大の他の学部より偏差値が下がる事もあるので、その辺りの過ごしやすさも気になるところですよね。
ただ実際に水産学部に通ってみて、とても青春を楽しむことができたし貴重な経験もたくさんできました!!
なので北水を目指している方には、最後まで希望を持って迷わず頑張って欲しいです!!
浪人で苦労したこともあり、受験生の皆さんの日頃の努力を思うと思わず胸が熱くなります😭💦(がんばれー!!)

なので、当時の自分へメッセージを送るような形で、そういった疑問を持つ方に向けてのメッセージも込めて、責任を持ってアドバイスさせていただこうと思います!
ただ、あくまで個人の主観による感想もあるのと、私が在籍したのは約7〜10年前になるので一部情報が古くなってしまいますが、できる限り最新の情報を集めておりますので、ご参考までよろしくお願いしますね。

それではご案内します!

水産学部と総合理系学部

北海道大学で水産学部に入るには、令和5年度試験では、フロンティア入試(総合型選抜)で入るか、一般選抜で入るかの大きく2通りがあります。

水産学部に入るためには

フロンティア入試の最終発表は2月8日で、3月発表の一般選抜より早いですね。

また一般選抜の中でも前期日程では総合入試(理系)枠と学部別入試があります。後期日程では学部別入試のみです。

定員は以下になっています。学部別入試が(おそらく)一番偏差値が低く、定員数が多いので入りやすいかもしれません。

受験枠定員数
フロンティア入試(総合型選抜)20名
前期 総合入試(理系)40名
前期 学部別入試105名
後期 学部別入試50名

フロンティア入試はシンプルに店員が少ないですね。対して総合入試(理系)は偏差値が高い学部に行く可能性がある人たち(医学部、獣医学部、歯学部など)も受けてくるので、偏差値が高くなる傾向があります。

なので水産学部に入ることが入試の時点で決まっている方には、学部別入試を強くおすすめします。

学部振り分け

一方でサバ缶は総合入試(理系)(以降、”総理”)で合格して2年次で水産学部に移行しました。

水産学部では総理から入ってくる人が少ないので、どうして水産学部に来たの?と聞かれることがよくあります。

総理から北水に以降する人の理由は主に

①サークルなどでエンジョイしすぎて授業の評価が低くなってしまったためやむなく💦

②他学部の授業も学んでから学部を決めたかった

の2パターンが多かったです。

サバ缶はというと、元々は農学部の森林関係の学部学科を狙っていましたが、サークル活動(週末にサイクリングで地方にキャンプに行くサークル)に精を出しすぎた結果、成績的に農学部には行けず、理学部か水産学部か迷った結果、実習も充実していそうで授業も楽しそうな水産学部に行くことに決めました。
多分そのパターンの人結構多いと思います。笑
ただ、仮に試験勉強をもっと頑張ったとしても私の場合それ以上の伸びは期待できそうになかったので、その分遊びに時間を振って良かったのかもしれないと思っています😅

個人的なイメージなのですが、水産学生はなぜか数学が苦手で英語も苦手で勉強にそんなに熱意がない人が多いイメージです。。

サバ缶は入試でかなり努力(浪人中は1日も遊ばず毎日勉強だけしていました...!!皆んなも負けるな!!笑)していたため、大学では楽しむことを中心にしていたいと思っていたので、あまり学部選びにはこだわりがありませんでした。

確かに受験生の頃は、北大で森林生態系を研究するぞ!と意気込んではいたのですが、大学のサークルというものは想像した以上に楽しく、水産学部でも”海洋生態系”が学べ他のでそれはそれで結果オーライでした。当時はマクロな生態系に関心がありました。

水産学部自体、北大の中では偏差値が低めなので、総理で入って、そこまで授業の成績が良くなくても水産に移行する難易度は低いでしょう。

キャンパス移行

2年次には水産学部の生徒も確定し、3、4年次は函館のキャンパスに移行となります。
毎日函館での授業なので、ほぼ全員函館に引っ越します。多くの生徒はキャンパスの近くに住んでいました。
離れたところに住むメリットがあまりないからなのかもしれません。(田舎なので...笑)

キャンパスは新北斗駅という北海道新幹線の駅の近くにあり、函館駅からはバスで30分ほどです。

アクセス

キャンパス周辺にはスーパーが1件とラッキーピエロ(ファーストフード)とホームセンターとコンビニがありました。
ラッキーピエロ(通称”ラッピ”)は北水生に非常に愛されており、憩いの場となっています。
チャイニーズチキンとか大きくて甘い味付けで最高なんですよね...🤤

五稜郭には居酒屋やバーがたくさんありました。近くに北水の寮もあります。比較的新しくて綺麗な寮なのでおすすめですよ!

函館駅は観光地なので花火大会などのイベントがあったり、美味しいご飯屋さんも多かったりして、一番賑わっている地域です。

函館の賃貸は、相場が安いのでとても学生にはありがたいです。
札幌も安い方だと思いますが、函館ではさらに安く、4万円出せば、そこそこの2部屋に住めたりします...!!
冬は雪が多いので、キャンパスに通いやすい場所が良いですね。

ともあれ、私はキャンパスの目の前のマンションに住んでいましたが、吹雪の日でも五稜郭まで歩いて飲みに行ったりしていましたね。笑
キャンパス周りで飲み屋は少なかったですから。なので必然的に宅飲みも多かったですね。

函館キャンパスのもう一つの魅力としては、海が近いことです🌊

釣り好きが多い水産学生には大変ありがたいですよね。

それも函館の魚はとにかくでかいんです!防波堤の足元で40cmクラスのアイナメやクロソイが簡単に釣れてしまいます。
車でちょって行くと渓流でヤマメやイワナがびっくりするくらい釣れます🐟人か少ないのでスレてないんですよね。
函館に住まれたら、是非釣りにも挑戦されることをお勧めします!周りの釣り好きに相談すればきっと連れて行ってくれると思いますよ!

どんな資格が取れる?

水産学部では以下のような資格が取得できます。

取得できる資格

・高等学校教諭 (理科、その他の教科)
・学芸員
・食品衛生管理者 (任用資格)
・食品衛生監視員 (任用資格)
・潜水士 (受験資格)

潜水士の授業は海ではなくプールで行うので安全安心ですよ。プライベートにも活用できますね。
その他資格も就活に便利ですね。
授業の数は多少増えますが、取っておいたら後々役立つかもしれません。

受けられる授業

令和6年度の2年次で受けられる水産の授業は以下になります。

2年次はどの学科も共通した授業が多いのが特徴です。

個人的には高津先生(水産資源各論担当)のノリノいい予備校の先生のような授業が眠くならなくて楽しかった記憶があります。
授業冒頭の一言「俺のライブに来てくれてありがとう!!」とノリノリで言っていたのがたまらなく面白く、9年経っても覚えています 笑
ユーモアのある先生って授業が楽しく受けられるので自然に内容が頭に入ってくるし、ありがたいですよね。

西村先生(基礎生態学担当)は淡々としたロジカルな感じで、生態学のジャンルでは大変名のある方だそうです。ロジカルに生態学を突き詰めたい方はぜひ支持されてみては?

工藤(秀)先生(海洋生物科学Ⅰ担当)はサケに非常に詳しく、サケの実習でのレクチャーがとてもためになりました。
情熱的で優しい先生でした。

和田先生(実験統計学担当)はベントス(底生生物)に造詣が深い先生で、人情深い先生です。
サバ缶の親が突然倒れたので実家にしばらく帰るから授業に出れないと和田先生に相談したところ、非常に心配していただいたことがあります。
人の気持ちがよくわかる方だと思うので、とても優しい方の印象です。同期曰く、学術的にもすごいそうです。

令和6年度の3年次で受けられる水産の授業は以下になります。

3、4年次になると学科ごとに細かく授業内容が分かれてきます。

中でもユニークだったのが、魚類学(今村先生担当)では毎回、指定の魚の中から2種をスケッチして提出するという課題がありました。

中には絵心がなさすぎて、図鑑の絵をトレーシングペーパーで写し絵している奴もいましたが。(皆さんは真似しないように!)

数理生物学演習(西村先生担当)は当時似た名前の授業を受けていたのですが、正直数式の理解がサバ缶には難しく、何度教科書を読んでも良くわかりませんでした...。

数式とか統計とか得意でないと覚悟しておいた方がいいかも?

平日午後は毎日実験になります。

海鳥の解剖をしたり、中和滴定をしたりした記憶があります。

中和滴定などは手先の繊細さが問われるのでパートナーに少し迷惑をかけてしまったりもしました。
作業自体は事務的で難しくないものが多いですが、手順をちゃんと理解して、要領よくやると早めに解散できたりしました。

結構チームによって時間差が出ていて、早く帰れるチームが羨ましく感じていました。(要領悪かったので...パートナーごめんよ...。)

実習

どんな実習があるのか気になっている受験者の方も多いと思います。

サバ缶は以下のような実習に参加しました。

・千歳町のサケの展示施設のバックヤード見学
・小樽市の近くでベントス実習
・八雲町でサケの遡上を見てサケ稚魚の孵化養殖施設の見学
・2週間の乗船実習
・南茅部町でシュノーケルと研究施設の研究紹介

千歳町では、施設見学を行いました。ふーんという感じで比較的穏やかなか研修でした。笑

小樽市の近くでは、ベントスに関する実習で、小さなボートに乗ったり岩場を散歩したりしました。
とにかく景観が綺麗で感動しました。
サバ缶のチームはヨモギホンヤドカリというヤドカリを捕まえて、交尾前ガード行動(交尾前にオスがメスをブンブン振り回す行動)について観察して発表しました。こういったチームでプチ研究をして発表をする機会もいい経験になりますね。

八雲町では、実際に遡上しているサケを見ながら、サケに詳しい先生からサケの話を聞くことができました。孵化施設(水研機構が管理)も見学することができます。後に友人の一人は実際北海道のサケ孵化施設で勤務することになりました。

乗船実習では2週間おしょろ丸という北水の調査船に乗り込みました。
底曳網で捕まえた生き物を観察したり、水深ごとに採取した海水の栄養素を調査したり、釣りをしたり、甲板で見張りをしたり、チームで課題を解いたりしました。
まさかの乗船初日で飲みすぎて騒ぎすぎた人がいて、2日目からしばらくお酒が禁止になりました。笑
また、船の上でお酒を飲むと突然こみ上げてくるものがあることも身をもって知りました。笑
2週間の長期航海なので、一大実習と言えるでしょう。

課題の一部

南茅部町ではシュノーケリングをしながら沿岸生態系について学ぶという時間がありました。人が少なく自然が多い場所なので、空き時間に釣りを満喫していたり各々の時間を楽しんでいました。

面白かった授業、面白くなかった授業

水産学部で個人的に面白かった授業は、(今はない?)水産資源学(松石先生担当)です。

水産資源学では、魚の資源量推定などについて学べました。

漁獲量や自然死亡率などから、簡単な数式で魚の資源量が推定できてしまう手法に感銘を受け、実際研究でも資源評価に関係する研究に携わらせてもらいました。

個人的に苦手だった授業は統計関係の授業です。大学受験の数学はある程度は対応できていたと思うのですが、大学で習う統計は初めて学ぶ方が多いと思います。単純暗記で覚えるべきこと(この統計手法は誰が発明したとか)が多かったり、数式の意味の理解が難しかったりしました。多くの方はそれなりに努力する必要がある分野かもしれません。

ただ、社会人になって情報を扱う仕事に就いた場合など、統計の勉強が役立つこともあると思うので、そう考えると勉強のモチベーションも少しは上がるかもしれませんね。

他の学部と比べて

上にも書きましたが、水産学部に来る生徒は向学心が高くない生徒もそこそこいらっしゃいます。(もちろん水産のことを学びたくて熱意のある学生も少しはいました。)人により感じ方は違うと思いますが、個人的には肩肘はって勉強しなくて済む雰囲気は精神的に楽でよかったです。サバ缶は高校の偏差値も50半ばと高い方ではなかったので、多分農学部とか人気の学部に行っていたら、周りに劣等感を感じながら授業にヒーヒー言いながら過ごすことになっていたと思います。そういう意味で居心地よかったです。

そう思うと、テスト前でもみんなで集まってゲームをしたり(リスクがあるのであまり真似しないでくださいね...)するゆとりがあったのは幸せなことだったなと思っています。社会人になるとしっかり働かないといけないので、学生の間は仲間と楽しむことに時間を使いたい方も多いはずですよね。

水産学部の良いところ

まず休みが多いのがいいと思いました。3、4年次は一日4コマしかないうえ、実験が早く終わることもあったりなど、バイトやサークルなどとの両立もしやすいです。

また海が近いので釣りができるのも大きなメリットです。友人は船釣りで一度に立派なブリを8本釣っていました。
たまたまその釣り帰りの友人の車を見かけたのですが、助手席に誰かが座っているようでした。よく見ると...なんと『ブリ』が座っているではないですか...!!
車の後ろに積みきれず、助手席に乗せていたそうです。。

札幌と函館の2拠点楽しめるというのもあまり他にない利点だと思います。
北海道の2大都市を満喫できます。

また、水産学部を出ると意外と就職がしやすい場合があります。
私の友人でも公務員や研究所、食品会社などに就職している人もいました。
北海道大学の信頼ということもあり、特に道内では北大出身というだけでかなり就職に強いです...!!

水産学部の悪いところ

水産学部のデメリットとして、水産の知識を仕事に活かしづらいということはあるかもしれません。

水産系の職種であれば活かせると思いますが、全然違う畑(ITや商社など)に就職している方も多いので、その場合せっかく数年かけて学んだ知識を仕事に活かせないのは勿体無いなと感じますね。割り切っている方も多いですが。

研究室

3年次の途中で研究室配属があります。

研究内容や先生、同期あたりを勘案して研究室を決めることになると思います。

できれば配属の前までに、どの先生の元でこの事(できれば候補3つくらい)を研究したい!という状態にしておくと、研究室選びや研究内容選びに困らずに済むと思います。

多くの研究室には学部生だけでなく大学院生もいます。彼らといかに仲良くなって可愛がってもらえるかが研究室生活の居心地を大きく左右すると言ってもいいと思います。笑
また先輩方は経験も長いので先生との上手な付き合い方を知っていたり、他の先輩の友達がいたり、学部生にはないものを持っているので、敬って尊重する気持ちを持つようにすると関係も気づきやすいかもしれません。(真面目すぎますかね 笑)

研究室は狭い空間で密集していることが多いので、仲が悪かったりすると気を使います。できるだけ自分から声をかけてみたり、先輩の研究について聞いてみたりしてみるといいかもしれません。きっと快く教えてくれるはずです。

研究テーマ選びでは、自分がやりたかった研究がデータがなかったりなどでできないことが結構あると思います。そこで落ち込んでしまうこともあるかもしれないので、いくつか候補を作っておくといいです。研究テーマを先生に選んでもらうというのも一つの手ですが、先生の立場からすると、自主的に研究を進めてもらいたいと思うはずです。

テーマ選びだけでなく、研究の途中で何をすべきか迷った時も、すぐ周りにアイデアを頼むのではなく、『自分はこれが気になるんだ』というのを大事にするのをお勧めします。研究は他人のためだけではなく、自分が興味を持ったからするものでもあるので、そこは重要なマインドになってくると思いますよ。

研究を進めていく上ではgoogle scholarで他の人が書いた論文を読めるので、他の人の論文を大いに参考にするといいと思います。
自分の論文の参考文献にも記載できます。

北水生の就職先

サバ缶の周りの同期たちは、役所、先生、食品会社、IT、カメラメーカー、漁業団体に就職する人がいました。

意外かもしれませんが、都内のITに入る人が結構多かったですね。
将来性があるというのもあるかもしれません。
といいつつサバ缶も現在ITベンチャーに勤めています。笑
フルリモートでデータに関係する仕事をしたかったからです。

北海道を出る人も多かったイメージです。そもそも北大に来る人の半数以上は道外から来るので、フットワークの軽い人が多い印象です。

参考まで、サバ缶が所属していた研究室(松石研究室)の卒業生の進路が載っているサイトをご紹介します。
驚くなかれ、なんと1996年から現在までの就職先が載っているので、かなりイメージを掴みやすいと思います。
ただし、鯨類や資源管理評価の研究を主に行なっている研究室なので、その辺りで就職先の偏りもあると思いますのであくまで参考まで。

ちなみにサバ缶は水産庁以外に、北海道庁、全魚連、北海道魚連、水研機構と水産関係のみ受けました。北海道庁と全魚連からはありがたいことに内々定をいただきました。北海道魚連ではおそらく面接で本気度が伝えられず、水研機構では筆記試験で落ちてしまいました。

就職で困ったら先生に相談すれば、お勧めの求人を紹介してくれる先生もいますよ!

終わりに

北水で過ごした3年間をまとめてみました。
元々水産に進む予定ではなかったものの、北水に進んだおかげで、学業もプライベートも充実でき、とても楽しい学生生活を送ることができました!

北水を目指している方に少しでも北水ライフのイメージを掴んでいただけたら嬉しいです!
他にも北水で気になることがあれば、わかる範囲でなんでも答えますので、どなたでもお気軽にこちらからお問い合わせください!

それでは皆さんの今後のご活躍をお祈りいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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